間隙の第一波

サンド島基地滑走路 時刻不明

基地へ帰還したレイジ達は即座に補給に入った。
コックピットから降りずに弾薬・燃料補給を済ませ、即座に飛び立つ。
三機しか居ない、隊長機が欠けた状態で飛ぶ、彼等。
何かの未来を示唆するかのような、三機―

セント・ヒューレット軍港 14時06分

《こちらサンダーヘッド。緊急事態につき、この場で作戦を説明する》
サブディスプレイ上にセント・ヒューレット軍港の地図が表記され、現在の情況が書き込まれていく。
どうやら、完全に奇襲攻撃に気付かなかったらしく、SPYレーザーすら照射されていない情況のようだ。
《港にはオーシア第三艦隊の艦船が停泊中であり、ユークトバニア航空部隊の奇襲にさらされている。艦船の湾岸脱出を支援せよ。なお、第三艦隊の中核であるケストレルだけは必ず護り抜け》
全機から了解の声があがる。
レイジ達三機は、機首をケストレルがいるはずの方向へ向け始めた。
《こちらサンダーヘッド。エッジ、ハートブレイクワンに代わり編隊の指揮を取れ》
了解、という声が聞こえない。
ふとレイジが気付くと、何時の間にか自分が一番機のポジションに移されている事を知り、唖然とする。
《いいえ、ブレイズ、前に立って。私は後につく》
≪エッジ…?≫
《ナガセ少尉、指示に従え》
戸惑いと苛立ち、この二つの言葉に、毅然とした口調で切り返すナガセ。
《いいえ、指揮はブレイズが。私は後ろを守る。もう二度と一番機を堕とさせはしない》
決意に満ちた口調。
レイジがそれに反論しようと口を開いた瞬間。

《うろうろしているな!ここは戦場だ!そこら中にいる敵に喰われるぞ!!》
叱責が背後から前方へ抜けた。
F14A、通称トムキャットだ。
《こちらスノー大尉、コールサインはソーズマンだ。次の敵編隊を迎撃する。位置を知らせよ!!》
《こちらサンダーヘッド。敵機接近、方位290〜320、数は6!》
《了解、交戦する!!お前等もやられる前に一機でも多く敵機を墜とすんだ!!良いな!?》
そう言うや否や、銀のシルエットはそのまま空を切り裂く形で敵機の居る方角へと消えていった。

《ひぇ〜い、オレァドンジリで良いよぅ!!》
…ダヴェンポートに一番機は無理か。
ここで説得するのは時間的に足り無いと判断し、レイジは溜息をついた。
≪ブレイズからサンダーヘッドへ。ハートブレイクワンの救助は?≫
《進んでいるはずだ》
≪了解。なら、今回だけ指揮を取る。すまないがそう言う事にしておいてくれ≫
溜息と共に了解が出、レイジは苦笑しながら言った。
≪すまないな、サンダーヘッド。一応、バートレット大尉よりは命令違反はしないつもりだ≫
《…頼んだぞ。ウォードック全機、交戦を許可する》
≪了解。…エッジ、今回だけだからな≫
その言葉に無言で返答するエッジ。
《私が後ろを守る…いいわね、ブレイズ?》
≪…正直、あんたの方がリーダーは向いていると思うがな≫
一応、最後の抵抗を試みたが、ナガセはそれを即座に却下した。
《もう二度と一番機を落とさせたく無いの。やらせて》
≪…わかった。やるだけやってみるさ≫
溜息を再度つく。
妙な事になってきた、そう思いながら…
思考を一気に切り替える。
死なせない飛び方を脳裏に描く。
そこから無駄を排除し、戦術的に二人をどう動かせば良いのかを瞬時に組み立てる。
≪ブレイズからエッジ、背後は任せるがそれに固執するな。チョッパー、あんたは俺よりも突出するな。だが、チャンスと思うなら突っ込んでも構わない。その時は俺が援護に回る≫
いきなり指示を出し始めるレイジに二人は驚くが、すぐに了解と返す。
≪一番機だけじゃない。もうこの部隊から被撃墜者を出させやしないさ…≫
そう呟き、A/Bを使用する。
Gの負荷と、先行きの不安を歯をかみ締める事で誤魔化す。
≪全機、A/B点火!!まずは目前にいるA−6E二機を撃墜する!≫
《了解!》
《りょーかい!!》

A−6Eを即座に撃墜した直後。
爆音。
見ると海で給油艦が爆発している。
《給油艦が爆発した!!消化艦はどこだ!?本艦に燃え移る!助けてくれ!!》
《何故浸入に気付かなかったんだ?》
誰かの声と共に―
爆音。
《あぁ!?消化艦が爆発に巻き込まれた!二隻…いや、三隻燃えているぞ!!》
地上は、地獄絵図と化した。
《これは演習では無い…繰り返す、これは演習では無い!!》
《見りゃわかるぞ、馬っ鹿野郎!!》
怒鳴り声が怒鳴り声を呼び、怒号が怒号を呼び、悲鳴は恐怖を呼ぶ。
地獄絵図は、更なる暗い色へと塗り替えられていった。

《前方に敵機!!ケストレルを守り通すんだ!》
その敵機からミサイルが発射され、それは狙い違わずケストレルへと突き進んでいく!!
《ミサイル発射を確認!》
悲鳴のようなミサイル確認の声に反応したのは、ケストレルのすぐ傍に居たイージス艦である。
《今こそ、イージスの意味を果たす!!》
そう言い、空母の前に出るイージス艦にミサイルが吸い込まれていく。
《…すまん、出港までの援護を頼む!!》
ケストレルに対する返答は、爆音と対空ミサイルの嵐で返された。

《ブレイズ、こちらエッジ。空母ケストレルを確認できますか?》
そう言われ、機首を傾けながら下を見る。

―被弾はイージス艦のみ、か…

≪無傷だな≫
《こちらからも確認出来ました。まだ大丈夫のよう》
≪まだじゃない。絶対に守り通すぞ≫
《そうね》
《しっかしなんなんだこの損害は…俺様の想像力を上回ってるとは、どうなってんだ?》
いつもの軽口も精彩を欠いているダヴェンポートの機を見、レイジは口を開く。
≪これ以上の損害は出させないよう、尽力しよう≫
《わーってる!!》
そう叫び、ダヴェンポートは気合を入れ直した。
《こちらは港長。港口に近い艦船は湾外へ逃れよ!!》
港長のその言葉に、もたつきながらも各艦は移動し始める。
《了解!船体が傷ついても構わん、出港しろ!》
《沈まないように港から出ろ。うまくやれ!》
もたつかずに出れたのは、ケストレルだけ。
日頃の練度の違いもあるが、艦長の気質の問題でもあるのだろう、ケストレルは迅速に行動し始めていた。
《こちらは空母ケストレル、港口へ向かう》
《了解ケストレル。空中に居る各機、ケストレルの援護をしろ!そこ!気持ちは判るが道を開けろ!空母は貴重品なんだ!!》
《上空よりミサイル着弾!11時方向、距離200メートル!!敵機、旋回し、なおも攻撃継続中!!》
ケストレルが動き出したのは、その通信が入ってからおよそ9秒と少し。

《ケストレル出港完了!良い航海を!!…くそったれ!来るぞ来るぞ来るぞ来る―》
《上空の味方戦闘機!!ケストレルを守ってやってくれ!!》
二つの絶叫のすぐ後、爆音がし、通信が断絶した。
通信していた人間は―
≪…っ!≫
レバーを強く握り込み、つい先程、爆弾を落とした敵機を機銃で墜とす。
爆装がまだ残っていたのか、盛大に爆発する敵機の横を通り過ぎる。
《こちらソーズマン、今向かう、俺たちの艦だ》
という通信のすぐ後、サンダーヘッドが口を開いた。
《駄目だ、こちらサンダーヘッド。空中管制指揮官だ。ソーズマンは東セクターに留まれ。持ち場を守り戦闘を続行せよ》
《だが、あれは俺の母艦なんだ!》
その言葉に、一瞬だけ沈黙し、サンダーヘッドはウォードッグ隊を呼び出した。
《―ウォードッグ、ケストレルの直衛につけ》
《石頭野郎め…任せたぞ、ウォードッグ。俺達の母艦を》
スノー大尉の想いを汲み取り、レイジは力強く応える。
≪了解、任された。エッジ、敵護衛機の撃破を。チョッパー、援護を頼む≫
《エッジ了解》
《チョッパー了解!!》

《管制機!目標を指示してくれ!!》
《方位280から敵侵入、数は…駄目だ、多すぎるっ》
弱気な発言。
サンダーヘッドは見たのだ。
レーダー上に映る敵機の数を。
《しっかりしろぉ!あんたの指示が必要なんだ!!》
味方戦闘機隊リーダー『ブルーハルバード』の叱咤激励が飛ぶ。
ブレイズは敵機を追いながら、通信を入れた。
≪ブレイズからサンダーヘッドへ。落ち着いていこう。まだ取り返しのつかないミスはしていないはずだ。あんたなら、出来る≫
会話に集中したせいで機動が甘くなり、敵機を逃してしまうが、援護に就いていたダヴェンポートが叩き落した。
《…サンダーヘッド了解。方位280から敵機、数は8だ》
《了解!こちらブルーハルバード、迎撃に向かう!》

《湾口までの距離、3マイル》
ケストレルのその通信に、思わず舌打ちをするレイジ。
「…長い3マイルになりそうだな」
そう呟き、機首を敵機がいる方向へと向ける。
《畜生、最悪の一日だ!》
その悪態に、レイジは独り言を返した。
「…なら、最善の行動を取るしかないだろ」
無論、通信を切ってあったから届きはしないだろうが。

《艦がようやく動き出している…早く湾からの脱出を!》
そのナガセの祈りに似た言葉に呼応するかのように、砲撃手の通信が入る。
《敵機対艦ミサイル発射!ファランクス撃ち方始め!!》
低い唸り声の後、爆音。
ただし、音は…
地上からだ。
《馬鹿っ、やめろ!岸のドッグを直撃しているぞ!》
すぐさま射撃が止まる訳も無く、直撃されたドッグは壊滅状態になった。
そこに居た者達は…
思考が結論に辿る直前に、更なる爆音と新たな水飛沫。
艦の前方100m近くでミサイルが着弾したのだ。
《!前方にミサイル着弾!チャフの残量は十分か!?》
《判らん!!確認急げ!!》
《さ、三時方向に、敵機!》
《無線が錯綜している。一体全体誰から見て三時方向なんだ!》
混乱の度合いが益々深まる中、冷静に敵機を撃ち落している部隊もいた。
ブレイズ率いるウォードッグ隊と、スノー大尉率いるケストレル護衛航空隊、そして、先程サンダーヘッドに激を飛ばしたブルーハルバード率いるセント・ヒューリッヒ軍港第二防空隊である。
彼等の奮迅の活躍で、徐々に敵機の数が減っていく。

その時である。
レイジが敵機を落とし、背面飛行からオートパイロットで水平に機を傾けようとした時。
何気なく水面下を見た瞬間、背筋に氷水をぶっかけられたのような寒気と怖気に襲われた。

―あれ、は…
レイジの戦慄を代弁するかのように、ナガセの呟きが入った。
《あの波間に浮いているのは…人?》
対艦ミサイルが爆砕し、人が千切れ飛ぶ様が見えた。
いや、実際にはそこまで見えはしないだろうが、レイジの精神状態からすると見えた気がしていた。
そして、海に浮かぶ粒。
アレは、人の『破片』ではないだろうか?
そこまで考え、だが即座に思考をシャットアウトする。
これ以上深く考えれば、戦えなくなる。
考えるのは、生きて帰ってからにしよう。
今は、戦うべき時だ。

《…おいブービー、あれを見たか?》
≪………あぁ…≫
《お前も見たのか、あの海…》
しばし通信機からは何も発せられない。
当然だろう、あの死の海を見てしまったのだから―
《…空母が外海に出る。頼むぜ、誰かよぅ。あいつを無事に逃がしてやってくれ》
その弱気な言葉にレイジは気付き、自身に言い聞かせる為にも断じた。
≪チョッパー、それは違う≫
強い口調で、レイジは通信機の向こうの士気激減しているであろう全ての人間に向けて言う。
≪『俺たち』が、無事に逃がすんだ。俺達やスノー大尉、ブルーハルバード率いる航空隊のお陰で、第三艦隊は一隻も沈んでいない。誰も沈ませないでこの封鎖線を突破する。それが、俺たち航空隊の役目だ。そして、それを援護し、俺たちが墜とされないようにするのが、第三艦隊の役目だ≫
《…簡単に言ってくれるぜ》
その言葉とは裏腹に、気合が入っているダヴェンポートの口調を聞き、レイジは安心した。
まだ、気力が死んでいない事に。
そして、自信に満ちた口調で、レイジは言い切る。
≪大丈夫、間違った指示は出さない。出したとしても、エッジかスノー大尉がそれを止めるはずだ≫
通信機から一瞬、え?という声が聞こえるがそれを無視する。
≪それに、死なせない自信もあるんでな≫
ヒュー、と口笛を吹くダヴェンポート。
《言ってくれるねぇ、流石隊長》
その時、通信が入った。
《こちらは空母ケストレル艦長。無事に脱出に成功した各艦、おめでとう。これより小官が指揮を取り、臨時編隊を編成する。前方に敵艦隊の封鎖線がある。これを突破し、安全な海域へ脱出しよう。諸君の健闘を祈る。上空の味方機、援護を頼む》
《ブレイズ、こちらサンダーヘッド。作戦内容は明らかか?》
双方の言葉を肯定する為に、士気を鼓舞する為に、レイジは強い意思を感じさせる口調で言い切った。
≪大丈夫だ。唯一隻、唯一機欠ける事無く、突破してみせる≫
《頼んだぞ、ウォードッグ》
意図するところが双方に伝わったのだろう。同じ位の強い意志が返ってきた。

《封鎖線までの距離を確認、4マイル》
《艦隊の隊列を崩すな!》
どうやら鼓舞した効果はあったようだ。
通信の声全てに覇気が戻っている。
ナガセも、味方への通信を積極的にしている辺り、点火したのだろう。
その事を確認しながらレーダーが反応している場所を目視する。

―超低空から浸入する機体…
  対潜哨戒機か、それとも対艦機か…
 いずれにせよ墜とさねばならんな

≪超低空から浸入する機が2機居る。エッジ、頼む≫
攻撃される前にやれるか?とは絶対に聞かない。やるしかないのだから。
《エッジ了解》
≪チョッパー、ケストレルに近づく艦に爆弾を投下、後に戦闘機を排除。援護はエッジが対潜機を撃墜した後に入る≫
《チョッパー了解!》
≪ブレイズからサンダーヘッド、対空兵器を積んだ艦の位置は判るか?それを叩く≫
《こちらサンダーヘッド、ミサイルボートが敵艦隊最後方から距離300に》
≪助かる≫
機を超低空まで下げ、A/Bを使って艦隊のド真ん中を駆け抜ける。燃費と精神力の消費が洒落にならないが、注意を自機に引きつける事に成功した。
ひっきりなしに襲いくる対空機銃を上昇と下降と僅かなヨーのみで避け、突っ切る。
心臓と胃が撃墜されるかもしれないという恐怖と無茶な機動によってひきつるが、それを意図的に無視し、回避とミサイルボートの撃墜に専念する。

―見えた。アレか。

無謀とも言えるブレイズの特攻に、慌てて旋回し始めたミサイルボートを掃射、撃沈した。
同時に通信が入る。
《エッジ、対潜哨戒機を撃墜》

―対潜の方だったか。まぁ、良い。

機首を上げた視界の先で、ブルーハルバードが乗るF15CがF−14Dに落とされていた。
どうやらエース機のようだ。次々と味方を喰っている。

―やるしか…ないか

≪ブレイズからエッジへ。チョッパーの援護を頼む≫
《ブレ…隊長は?》
≪敵戦闘機隊のエース機を確認した。墜とす≫
《なら援護を…》
≪駄目だ、第三艦隊の封鎖線突破を優先してくれ。これは命令だ≫
そう言い、通信を切る。
敵機もこちらに気付いたらしく、まっすぐ飛んでくる。

―HEAD TO HEAD(自機と敵機が機首を向け合って突っ込んでいる状態を指す)か。
 …試してみるか。当たれば奇跡、だが。

A/Bで速度を上げ、すれ違う前に、機首を上げ、トリガーを引く。
機銃と―

敵機はそのまま旋回もせずに機首だけ下げて機銃を避け、自機の真下を通り過ぎ―
爆発した。

それを偶然だが、一部始終を見ていた者が居た。
スノー大尉である。
敵駆逐艦を撃破した後、上空を見たのだ。
何かの予感があったのか、上空を見た時、敵機とレイジ機がすれ違い、爆発した。
「爆弾を…当てやがった…?」
そう、敵機がレイジ機のほぼ真下を通る数瞬前、レイジ機の下から黒い物体がバラバラと落ちていた。
普通、どう考えても当たるものじゃない。
だが、レイジはあててみせた。
これが、何を意味するのか―
《スノー大尉?どうかしたのかね?》
《あ、あぁ、大丈夫だ、敵駆逐艦を撃破した。これで敵艦隊は全滅だ》
《良くやった。こちらは空母ケストレル艦長。本艦隊は安全な海域への脱出に成功した。海、そして空の勇士達に感謝する》
わっと沸く歓声。それに加わるかのようにサンダーヘッドからの通信も入る。
《こちらサンダーヘッド、こちらでも封鎖線の突破を確認。ウォードッグ、ご苦労だった。帰還せよ》
≪了解、これより帰還する…終ったか…≫
《突破しやがった!ヘヴィなサーフボードだぜぃ!…おっとと、ところでブービー。隊長になった気分は良いモンか?》
≪出切ればもう二度とやりたくないな≫
作戦終了後という事もあり、つい本音を漏らしてしまうレイジにダヴェンポートはカラカラと笑った。
《バックアップは俺たちなんだぜ?安心しろよ。なぁナガセ?》
《そうね》
《そうね、だけかよ!もう少し何か言ってやれっての!!》
困惑の空気が無線を介して伝わり、ブレイズは苦笑した。
≪エッジに気の利いた台詞、言えるワケ無いだろ、チョッパー≫
《あー、そりゃそうだったな。何せ、あだ名が氷の―》
《チョッパー?》
《何でもないです、ナガセ少尉殿》
阿呆な会話につい、感想を呟く。
≪なんだこの面白会話は≫

そうふざけつつも編隊をキッチリと組んで帰還するレイジの耳に通信機からお喋り小僧の声が入って来た。
《1、2、3…123機、何度数えても俺たちは同じ数だ。見てろよ隊長のヤツ。帰ってきたら自慢してやるからな》
≪…いぢられない程度に、ほどほどにな≫
呆れながら、或いは興奮醒め切らずのまま、或いは一番機への想いを馳せながら帰還していく、三機。

―これで、取りあえずは防げた、か…
  バートレットが帰ってきたら隊長をとっとと返上して、四番機に戻ろう。

そう、固く決意したレイジであったが、皮肉にも彼は以後ウォードッグ隊の中核を担う事になる。
バートレット大尉。
彼は、二度とサンド島の土を踏む事は無かった。

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